FlightSimulatorのためにだけにXBox SeriesXを買った話

5.0
MicrosoftFlightSimulator 2020 with XBox Series X PC/デジモノ

MSFS2020を発売と同時に購入し、気軽に楽しんでいるのですが4Kディスプレイに買い替えたことをきっかけにPCよりも安くて高性能なXBox seriesXを購入しました。
PC版との違いや、新しく導入したフライトスティックについても紹介します。

MicroSoft FlightSimulator 2020

2020年にマイクロソフトから発売された飛行機操縦ゲームです。飛行機といっても旅客機・民間機がメインであり、格闘戦を楽しむようなゲームではありません。標準パッケージでも戦闘機(F/A-18E/Fスーパーホーネット)が登場しますが、ミサイルも弾も出ません。民間機では不可能な超音速で飛行できるだけです。

あくまでも離着陸などの操縦操作や、シーナリーを楽しむといった飛行体験を味わうことを目的としたゲームです。その分、飛行特性や操作などはかなり作りこまれており、ACECOMBATなどとはかなり毛色が違います。

正式名称は”Microsoft FlightSimulator”なのですが2006年に発売された前作FlightSimulatorXまではMSFS98とかMSFS2002などとバージョン名が製品名につけられていたので、2020年に発売されたMSFSを指す場合にMSFS2020と呼ばれることが多いです。

2006年のFSXから14年の時を経て発売された新作だけに発売前からファンの間では注目を集めていた作品でもあります。今年はMSFS2024が発売されるとの話もあります。
ちなみにMSFSは非常に高スペックが要求されるゲームで、発売時には最高設定で遊べるPCは世の中に存在しないのが恒例行事です。現状でもMSFS2020を最高設定4Kで高フレームレートを出すにはRTX4080~4090クラスの化け物PCが必要です。

FlightSimulatorX
2006年発売のFlightSimulatorXのパッケージ。雑誌の記事を読んでFlightSimulatorをやりたい!と思ったのがMSFS98、初めて買ったのがMSFS2000、そして約20年前に購入したのがこのMSFS X。ご多分に漏れず、2000もXも当時の自分のPCで最高画質設定で遊ぶことは無かった(できなかった)。今のPCならMSFSXぐらい簡単に動きそうだがOS対応等々の問題でバグりまくってまともに遊べないジレンマ。

XBox Series X

XBoxといえばマイクロソフトが発売している現行の家庭用ゲーム機で、安価なモデルがXBox Series S、高性能なモデルがXBOX SeriesXです。フルHDで遊びたいならSeries S、4Kで遊びたいならSeriesXを買ってね、といいうのがマイクロソフトの戦略のようです。

今回購入したのは高性能モデルのSeries Xの方ですが(以下XBox Series Xを全てXBoxと略します)、驚くべきはその価格に似合わない性能です。発売当初は約5万円、現状では約6万円ですが、GPU性能の公称値は12TFLOPSです。

PC用のGPUと比較すれば数値上Geforce RTX3060やRADEON RX6700XTあたりとほぼ同水準の性能です。これらのGPUは単体でも4~6万円レンジの製品ですのでそこだけみればバーゲンプライスと言えます。

これが私がPCの新調ではなくXBoxを選択した理由です。

TFLOPSの数値だけでゲーム性能が決まるわけではありませんが、実性能上も概ねこの辺りと被るようです。
XBoxでWindowsが動けばそれでよくね?っていつも思ってます。

補足:これまで使用してきたPCについて

個人的な趣味とスペース上の理由からで大きなデスクトップPCではなくミニPC(IntelNUC)をメイン機にしていました。一般作業はRADEON VEGA M GH搭載のNUC8i7HVK、ゲームはRTX2060搭載のNUC11PHKi7Cを使ってきました。

PC版MSFSの場合

  • VEGA M GHでは荷が重くFHDならローエンド設定でまあなんとか…
  • RTX2060ならFHDならミドル設定ぐらいだとダメじゃないけど苦しい…

抽象的・主観的評価で申し訳ありませんが、どちらもMSFSを本来の姿で楽しむには力不足でした。特に4Kではほぼ絶望的です。

ちなみに4Kディスプレイは最近新調し、快適に使っています。安心のDELL(無輝点保証)、4KIPSディスプレイでUSB-C入力にも対応したものです。こちらのディスプレイの話はまた別の機会に。

XBox Series Xでの使用感やPC版との違いについて

ゲーム体験

一番肝心なゲーム体験ですが、一言でいえば全く問題なく4Kで遊べるといえます。特にベンチマークをとるつもりも方法もないのであくまでも感想、印象です。

ゲームの仕様上、4Kの場合のフレームレートは一応30FPSとのこと。30FPSというと低く思えるかもしれませんが、ゲームの性質上30fpsでも大きな不満なく遊べます。また、VRR(可変リフレッシュレート、AMD FreeSyncやG-Syncなど)に対応したディスプレイでは~60fpsにも対応しているようです。(上記DELLのモニターの場合はFreeSync対応です。テレビの場合には上位モデルでないとVRR対応でない場合が多いです)

実際にプレイしてみると体感的にはほとんどのシーンで30FPS以上のフレームレートが出ているように感じられました。カクツキ等は感じられません。建物などのオブジェクトが密集する東京中心部を小型飛行機でビルの間を縫うように低空飛行した場合には30FPSっぽいなと感じるシーンはありましたが、それらはごく一部です。

MicrosoftFlightSimulator 2020 with XBox Series X

このようなオブジェクトが大量にあるシーンはやはり重くなりますが、最低でも30fpsは出るように調整がかかっている印象です。


PC版の場合、グラフィック設定は細かく設定が可能ですがXBox版の場合には一切の設定がありません。おそらく本体性能の余力に応じて各種設定を常に自動調整をしているのでしょう。といっても上記のような重いシーンでも不自然に感じるような画質の低下などは見られませんでした。インプレスの記事ではPC版のミドル~ハイぐらいの画質だとの記述がありました。私も概ね同じような感想です。

低スペックPCでフレームレートが下がる場合、アンチエイリアスを泣く泣く切る、ということもやっていましたがXBoxで遊んでいる限り、そのような設定がされていると思われるような画質低下はありませんでした。

MSFS XBOX版のグラフィック設定


気軽に快適に遊べる、というのは非常に大きなポイントです。低スペック機であれこれ設定を煮詰めるのに時間を費やした身からすると、全自動で高画質というのはストレスフリーでいいなあ、というのが率直な感想です。

低スペック機でMSFSを遊ぶと、最も快適で高画質な設定を探し始めるという本末転倒なことが起こります。

起動時間

MSFSは非常に重たいゲームなので、PCでもXBoxでも起動だけで数分単位で時間がかかります。PCの場合はスペックによりますが、XBoxではコールドスタートの場合は2分~2分30秒でした。(ソフトウェア更新がない場合)

しかし、XBoxをMSFS専用機にしてしまえば、クイックレジュームにより数秒で起動できてしまいます。(要するにMSFSを起動しっぱなしの状態にできる)。汎用PCでもできないことは無いですが、なかなかハードルが高い運用なのでこれは専用機ならではのストレスフリーな環境です。

音と消費電力

音は非常に静かです。筐体サイズが違いますので同じ土俵で比べてはいけない気がしますが、RTX2060を搭載しているNUC11PHKi7Cの場合はMSFSの起動中は常にファンが全力回転で非常にうるさくなりますが、XBoxでは常に静かです。これは本体底面積とほぼ同等サイズの大型ファンのおかげですね。暖かい風は常時ゆるゆると噴き出しているという感じです。もちろん無音ではありませんが、個人的には全く気にならないレベルです。

また、消費電力についてざっくりと計測した感じでは、最も負荷が高いと思われるシーン(東京を低空飛行する)でも200Wを超えない程度でした。高スペックゲーム機の消費電力を気にする人はあまりいないと思いますが念のため。

購入方法とPC版との関係について

私はもともと、WindowsのStoreアプリでMSFS2020を購入していましたのでXBoxでも追加費用等なしに遊べました。アカウントの設定等を済ませるとすでに所有していることになっているわけですね。飛行訓練などの進捗や実績等も特別な設定なしで引き継がれます。

また、PC版との同時起動は不可です。XBoxでMSFSを遊んでいる状態でPC版を起動しようとすると別の機器で起動している旨が表示されて起動できません。(随時切り替えが可能です。同時に起動するのがダメなだけです)

上記の進捗等に関しても同期が行われますので、PCで遊んだりXBoxで遊んだりを自由に選べますし、どちらで遊んだかは気にする必要はありません。

MicrosoftFlightSimulator 2020

Steam版を購入していた場合にはXBox用に買いなおす必要があるはずです。こういったことがあるのでMSFSに関しては、MicrosoftStoreでの購入をお勧めします。

ゲーム容量

MicrosoftFlightSimulator 2020 の占有サイズ

XBoxには標準で1TBのSSDが搭載されていますが、MSFS2020と各種公式無料DLCを全て導入した状態(2024年2月時点)ではストレージ使用率は36%で、残容量は約500GBでした。これからも無料DLCの配信もあるでしょうし、MSFS2024が発売されたらちょうどいっぱいになりそうです。

このような意味でもFlightSimulator専用機としてXBoxを購入するのは”ありよりのあり”と思っています。

ゲーム1つで300GB。これだけでどれだけ重いゲームかおわかりかと。

XBoxでMSFS2020を遊ぶ上で気を付けたいこと

PC版と全く同一ではない

先に述べたように、グラフィック設定がごっそりと削られていたりするのでPC版と全く同じものではない点には注意が必要です。公式ストアにて配布/販売されているアドオンにしても、XBox版では使えない・正常に動かないといった場合があるようなので購入時には注意が必要です。

MODは使用不可

タイトルの通りです。PC版にはさまざまなMODが配布されていますが、XBox版ではそれらは原則として使用できません。

コントローラーの制限が厳しい

これが一番大きな問題かもしれません。PC版であればほとんどのゲームパッドやフライトスティックが使用できます。しかし、XBox版の場合には純正or認定コントローラー以外は動作しないと思った方が良いです。

DirectInputはNGでXINPUTならOKという単純な話でもなさそうです。試しにXINPUTのライブラリを使用してArduinoProMicro互換機に適当なスケッチを書き込んでXBoxに接続してみましたが、認識すらしませんでした。他にArduinoライブラリを探したのですがそれらしきものも見つかりませんでした。
USBのキーボードについては使えるので、カスタムコントローラーを自作・追加したい場合にはこの辺りから攻めるのが得策だと思います。アナログ関係の入力は厳しいですが…

特に、フライトスティックを購入する場合には、”XBox版のMSFS”で動作することがわかっているもの(MSのお墨付きがある、もしくは実際に動いたかどうか信用に値する口コミがあるもの)を選んでください。
今回、XBoxの購入に合わせてTurtleBeachのVelocityOne Flightstickを購入しましたが、これはMSのお墨付きがある商品です。別の記事で詳細なレビューを上げたいと思いますが、買って損なしです。XBoxではなく、PC版で遊んでいたころから買っておけばよかったと思うぐらいによい商品です。

この手の製品としては中堅クラスのモノ(激安品ではない)です。この手の製品で真っ先に壊れるアナログスティックについても(ドリフト現象)、非接触式のセンサーを使用しているとのことなので安心できそうです。

最近流行りのHOTASタイプではありませんが、必要十分な機能を備えていますし全体的なつくりも悪くないです。(高級感があるという意味ではありませんが決してチープではないです。)

ディスプレイも備えられていて各種設定をフライトスティックの本体側に保存できるというのも、Logicool K380のメディアキーに呪われた自分としては高評価です。

まとめ

いかがだったでしょうか。私はMSFS専用としてXBox Series Xを購入して良かったと思っています。

細かな設定や微妙な縛りがあるものの、PC版と比較してストレスフリーで高品質な飛行体験をできるモノとしてコスパ含め非常に良い選択です。

アレコレいじり倒したい人や、どうせほかのゲームもPCでやるから!という人はグラボに投資する方が良いと思います。(正直XBoxのゲームラインナップがFlightSimulator以外は…)

ArduinoでXBox S|Xで使えるアナログコントローラーを作る方法をご存じの方はぜひコメント欄へ。ラダー操作だけはダイヤル操作でやりたいのです。(フライトスティックの捻りが苦手)

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