待望のDC-G9M2が発表されました。
私はG9を愛用しているのですが、G9M2の写真やスペックを見ていて気になった部分がいくつかありました。
それらをみながら、今あえて旧型を選ぶべき理由を解説します。酸っぱい葡萄的な成分も7割程含まれていますので寛大な気持ちでみていただければと存じます。
概要
DC-G9は、2017年に発売されたパナソニックのマイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラとして発売されました。G9PRO、とPROの称号が与えられた、スチル(静止画)重視のフラッグシップカメラです。
DC-G9M2はその後継機に当たります。動画機フラッグシップとしては先年GH6が発売されておりますので、マイクロフォーサーズのツートップがここで更新されることになります。
センサーは20Mから25M(位相差対応)にレベルアップしています。パナソニックは長らくコントラストAFだけで勝負してきましたから、位相差センサーが加わることで鬼に金棒ですね。また、同じセンサーを積んでいると思われるGH6も高感度耐性などの評価も高いので、このあたりは純粋に評価できそうな(うらやましい)ポイントですね。
ただ、公式の発表ビデオなどを見ると、ビデオ機能、特にプロ向け、映像クリエーター向けの機能が推されている印象です。このあたりで違和感。動画機はGH6があるんだからG9M2はスチル撮影にもっと的を絞っても良かったのではないかと…
サイズと大きさ、そしてデザイン
G9に対してはマイクロフォーサーズのくせに重い、でかい、という評価が多いと思います。それについては私も同意です。もう一回り小さければ、とは思います。まずは各機種の重さやサイズをくらべてみましょう。メモリーカード、電池込みの重さです。
G9PRO | G9PROMark2 | S5Mark2 | |
---|---|---|---|
幅(mm) | 136.9 | 134.3 | 134.3 |
高さ(mm) | 97.3 | 102.3 | 102.3 |
奥行(mm) | 91.6 | 90.1 | 90.1 |
重さ(g) | 658 | 658 | 740 |
重さは、G9と全く同じですね。G9より絶対重くしないという方針で設計したのでしょう。軽くはなってないです。
大きさに関しては幅と奥行きがそれぞれ数ミリ小さくなっています。ただし、高さは5mmほど高くなっています。
※初出時、高さの値を読み間違っていましたので修正しました。
https://news.panasonic.com/jp/press/jn230913-1 より引用
というか、既視感のあるデザインだと思ったのですがS5M2の筐体まんまですね。各寸法は全く同じです。併用できるように操作系などS5M2と共通化したとのことです。外観としてのデザインは好みの問題ですが、操作系としてのデザインには少し意見があります。
肩液晶の廃止
メインモニターがあるのだから肩液晶は不要という意見が多くみられました。ただし、あって困るものではないので、肩液晶廃止のバーターとして小型化が大前提だと考えます。
しかし、幅は3mmしか縮まっていないです。肩液晶の幅は40mmぐらいありますからね。肩液晶は夜間の撮影などでは結構重宝しますので、この程度の違いなら残してほしかったところです。
モードダイヤルの位置変更
G9では左肩にあったモードダイヤルがG9M2では右肩に移動しました。
右手だけで操作が完結できるのが良い操作系だと考えていますが、モードダイヤルは右側にあっても右手で操作できません。右手でモードダイヤルを操作するためにはグリップから手を離さないといけないんですよね。
残った左手で操作する前提なら左肩にあるのが正解のはずです。
電源ボタンの位置変更
G9ではシャッタースイッチ周りにあった電源スイッチが右肩モードダイヤル周りに変更されてしまいました。個人的にはこれが一番痛い変更です。
モードダイヤルと同様に、この位置だと右手で操作するのが難しいです。
動画機であれば不用意に触らないようにしたい、という意味は分かります。しかし、G9シリーズはスチル重視の機種だったはずです。スチル撮影ならシャッターボタン周りに電源を配置するか、少なくとも右手でグリップをホールドしたまま電源操作できる場所にスイッチを配置すべきです。
ファンクションレバーの廃止
G9では正面むかって右側にあったファンクションレバーが廃止されてしまいました。ファンクションレバーは様々な機能を割り当てて、簡単に切り替えられるものです。なければないで済むものですが、メニューをたどらずに物理的なスイッチやレバーで設定を変えられるのは速写性という意味でも、撮影時のストレス低減という意味でもすごく重要なんですよね。
ダストリダクション機能の劣化
G9では超音波式のダストリダクション機能が搭載されていましたか、G9M2ではセンサー振動式に変更されました。
厳密に比較したことはありませんが、やはり超音波式の方がダストリダクションの効果は高い印象です。GH5M2でも超音波式が廃止されてしまいましたからコスト等を考えても当然の流れなのかもしれませんが残念です。
改善点・期待
動画撮影周りの機能はかなり強化されていて、外部SSDへの直接記録や、高画質フォーマットへの対応などですね。ただ、これらはスチルをメインとするアマチュア層へのメリットはあまり大きくないです。高画質な動画は編集する環境を整えるのも大変ですからね。
SSDに直接動画を記録できる機能が追加されたようですが、SDカードに入りきらない動画を撮影することはプロのクリエイターでもなければそうそうありません。外部SSDを接続してメモリーカードのバックアップを取れる機能があるなら欲しいですが…
G9PROでは4K60pの時間制限が厳しいのが弱点でしたが、これらの動画機能強化から察するに、時間無制限になっているはずです。(追記:公式サイト仕様表にて動画撮影時間は無制限であることが確認できました。)
総括
スチル専用重視のシリーズであったはずが、動画機能へこだわりや中級機であるS5シリーズに寄せた結果、スチル撮影に必要なものを捨ててしまったように感じます。
中途半端、ということですね。AFの進化や画質の改善は確実にあるはずですがそれ以上に操作系にはこだわって欲しかったです。
最後にお値段ですが、ボディ単体23万円程度とのこと。末期の製品と発売前の製品で値段を比べるのは酷ではありますが、前にもお話ししたとおり、G9は数年前からバーゲンプライスですし、G9M2の発表に前後してG9が各大手ECサイトで実質10万円切りとなっています。
写真メインならG9M2よりG9を選ぶときです!
実物が出始めたら手のひらクルクルの可能性はあるかもしれませんが(笑
追記
よくよく考えたらフルサイズのS5Mark2が20~25万円ぐらいです。ボディだけですべてが決まるわけではありませんが、同じサイズで同じ価格ならフルサイズを選びたいと思ってしまいますねえ。
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