NikonにしろPanasonicにしろストロボ(フラッシュ、スピードライト)のラインナップが貧弱すぎる気がします。入門機のカメラに搭載されているごく小さなものか、プロが使うようなものすごく大きなものかの二択になってしまっています。”手ごろなサイズ”のストロボが非常に選びにくい状態です。軽視されがちだと思うんですが、子供の写真を撮るうえでストロボは重要です。特に日中の環境下では顔に影ができてしまう…ということも多いですがストロボを使うことで表情をはっきりと写真に収めることができます。
そこで、シンプルで低価格かつ日本メーカー製のストロボ、ニッシン・デジタルのNissin i400を紹介します。加えて、わかりにくいストロボまわりの露出制御(挙動)についても少しだけ解説します。
ニッシンデジタル i400
ニッシンジャパンとは
創業60年の老舗ストロボメーカーです。最近ではニコンとの協業が(*)が発表されたりと信頼できる日本のメーカーです。ストロボや関連アクセサリーなどを開発・製造・販売しています。
(*)ニコンが開発リソースをカメラ・レンズに集中するためにストロボの開発をニッシンデジタルに投げた、ということではないかと妄想しています。
Nissin i400
i400はNissinの製品の中でもほぼ最廉価グレードに位置する製品で価格は9000円弱です。以前は7000円台でしたが最近は値上がりしているようです。アマゾンでニッシンダイレクトから販売されています。最廉価グレードとは言え、ガイドナンバーは36と十分な明るさがありながら同クラスの他製品よりも小型です。そして、以下の基本的な機能も備えています。
- ハイスピードシンクロ
- バウンス(上下左右)
- ズーム対応
- 広角パネル内蔵
- キャッチライト用パネル内蔵
外観
外観を見てみましょう。全体的にシンプルな意匠です。やはり特徴的なのは操作側のダイヤルですね。
左側のダイヤルはモード選択(M,A,TTL)、右側のモードは発光補正/露出補正のダイヤルです。パイロットランプ長押しでハイスピードシンクロモードに変わります。
電源ボタン右側のパイロットランプはテスト発光のボタンとハイスピードシンクロのモード切替スイッチも兼ねています。1つ3役ですね。パイロットランプを長押しすることで、ハイスピードシンクロモードになり、モードダイヤルLEDが点灯から点滅に変わります。
水平方向の回転は左180度、右180度です。無限回点ではありません。上下は0度から90度上方まで動かせます。縦位置でのバウンスも問題ありません。
キャッチライトの引き出し部と広角パネルの引き出し部は分かれていて、それぞれ独立して取り出すことができます。
電源は単三電池4本で、丁番部分も金属でしっかりできているように見えます。
ストロボ側で設定できる発光モードはM,A,TTLの三種類です。Mは発光量を自分で決めます。Aはフルオート、TTLは露出補正が設定できます。左側のモードダイヤルの選択に合わせて右側のダイヤルの基準一のLEDの点灯状況が変わることがわかると思います。
Lumixへ取り付けた場合のサイズ感
Nissin i400とLumix DC-G9の組み合わせです。小さいに越したことはないですが、これぐらいならよいサイズですね。
こちらはNissin i400とDMC-GF1の組み合わせです。GF1は小型カメラです。使えなくはないですが、ここまでくるとやはりちょっとバランスが悪いです。とくにパンケーキレンズとの組み合わせではちょっと持ちにくいです。
他のストロボとの比較
全くの別メーカー、キャノンの純正ストロボ430EXIII-RTとの比較です。こちらはガイドナンバー43で、i400と同じクラスです。430EXIII-RTは無線機能なども内蔵しているので単純比較をしてはいけませんが、i400がかなり小さいことがわかります。どちらも電源は単三電池4本です。
Nissin i400のメリット
- 大きなダイヤルによる操作/確認のしやすさ
- ホットシュー取り付け部が金属で耐久性も高そう
- 十分な光量ながら比較的小さいサイズ
Nissin i400のデメリット
- 液晶パネルによる表示がないため、細かい設定はできない(ズーム設定など)
- ハイスピードシンクロへの切り替えがわかりにくい/やりにくい
- どう曲げてもおさまりが悪く、輸送時にかさばる
- ワイヤレス機能がない
この辺りについては、GODOXのTT350oの方に分があると思います。
【正規品 技適マーク付き日本語説明書付】Godox Thinklite TTL 2.4GHz TT350o ミニカメラフラッシュ高速1 /...
個人的に一番のデメリットだと思うのは収納時にかさばるところですね。発光部を立ち上げてもストレートな形状になりません。
おまけ:ストロボについて
一般的なストロボ撮影の知識
環境光だけで撮影する場合はよいのですが、ストロボを使用した場合には環境光+ストロボという光源が混ざりあった状態で正しい明るさにしなければならないため、少々ややこしいです。いま、ここでは以下の関係をイメージしてください。
- 絞りとISO感度は被写体・背景の明るさに影響します。
- シャッタースピードは(主に)背景の明るさに影響します。
- ストロボ発光量は(主に)被写体の明るさに影響します。
重要なのはシャッタースピードは被写体の明るさにはあまり影響しないということです。ストロボが発光するのはシャッタースピードよりも短い、ごくわずかな時間の間だけだからです。
Lumixのストロボ制御(G9PRO)
G9本体側の設定としては主に以下の2つのモードがあり、ストロボの発光光量以外に露出制御(Av,Tv,ISO)にも影響を与えます。これは注意です。
シャッタースピードは1/60~1/250の範囲で設定され、絞りとISOはマニュアル設定があればそれに従う、なければAUTO。ストロボのパワーが足りなければ露出が極端にアンダーになる場合もある。
シャッタースピードは~1/250の範囲で設定され、絞りとISOはマニュアル設定があればそれに従う、なければAUTO。このモードでは、万が一ストロボが発光しなかったり、ストロボのパワーが弱くてもそれなりに露出があった写真になる。
つまり、夜景を撮りたい場合などに通常発光モードを選択してしまうと、ストロボ光の届く近くの被写体だけが適正露出(マニュアル発光ならそれに応じた明るさ)になってしまい、背景はなどは全く映らなくなってしまうということです。
また、ストロボ側にも設定があります。それがハイスピードシンクロです。
光量が落ちる代わりにシャッターの同調速度よりも短いシャッタースピードでもストロボを利用できるようになります。G9PROの場合では1/250よりも早いシャッターを選択/自動選択することが可能になります。日中明るい場所で絞りを開けて撮影したい場合などに有効。
ストロボ側がハイスピードシンクロの設定になっていない場合、P,Aモードでは1/250以上の速度が選ばれることはありません。M,Sモードで無理やり高速シャッターを設定すると画像の1部のみが帯状に明るい写真になってしまいます。
上記挙動はあくまでもLumix DC-G9(G9PRO)によるものです。他Lumix機・他メーカーでは違うかもしれません。キャノン機はなぜかストロボ使用時はISO400に固執するイメージです。
環境光+ストロボ光という複雑な光の条件で撮影することになるので、各カメラがどのような制御をするのか理解して使いたいですね!
まとめ
いかがだったでしょうか?ストロボを使いこなせると写真の表現の幅が広がり、お子さんの表情を明るくとらえることができるようになります。自分にあったストロボを選んでみてください。
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