個人的eneloop回顧録

eneloop tones rouge マイコン/Arduino

今回は旧三洋電機が製造・販売している二次電池eneloopについて情報を整理したので書いてみようと思う。

より詳細な情報はwikipediaなどにも書かれているし、本記事作成にあたり多くの部分についてwikipediaも参照した。より正確に大量の情報を得たい方はそちらを参照されることをお勧めする。

本記事ではかいつまんだ概要や手持ちのenelooopコレクションの写真を見せびらかすことを目的としており大量の与太話も含まれるので、ラフな”読み物”として楽しんでいただければ幸いである。

自分の記憶を頼りに書いている部分が多いので錯誤等もあるはずである。大きな間違い等があればコメント欄にてご指摘をいただければ。

また、”世代”についても極力Wikipediaでの記述に合わせて書いているが、三洋やPanasonic自体が公式にそう呼んでいるわけではない。この点(どれが第〇世代でこっちは第×世代だ、など)についても議論は意味を持たないと思って執筆している件、ご了承の程を。

以下、電池容量等の話については特段の記述がない場合は単三型電池を基準としています。

eneloopとは?

eneloopとはいわゆる”充電により再利用可能な電池”である。このような電池を2次電池というが、その中でもeneloopはニッケル水素式充電池と呼ばれる種類の2次電池で、eneloopといえばニッケル水素式電池の代名詞とも言えるほどに有名なものである。

eneloopの発売は2006年で、今は亡き三洋電機によるものであった。勘違いしている人も見受けられるが、eneloopは世界初のニッケル水素電池というわけではない。

eneloopの発売前後の状況を自分の記憶を頼りに整理すると以下のようなものである。

eneloopの登場

eneloop発売前夜

2000年代初頭、乾電池型の二次電池といえばニッケル水素かニッカド電池の二択であったものの、電池メーカー各社はニッケル水素電池の技術革新にしのぎを削り、ニッケル水素電池の電池容量が年々増加するような状況であったと記憶している。

単三型で2700mAhの電池容量を誇る電池も見かけた記憶がある。現在最新のeneloop Proでも最大容量は2500mAhであるから、それよりも多くの電気を取り出せる電池が発売されていたことになる。

ニッカド電池(ニッケル-カドミウム電池)については毎年容量が増えた新製品が発売されるという状況ではなかったはずである。なにか物理的・技術的壁があったのかもしれないが、やはりカドミウムという物質の利用を控えたい各方面の意思が働いていたのではないだろうか。(1990年代の主流はニッカド電池であったはず)

このように、当時はその電池容量の大きさなどからニッケル水素電池が優勢であった。しかし、当時のニッケル水素電池には大きな問題があった。スペック上の電池容量が増えてもそれを実感できない、電池容量と引き換えに自己放電特性が悪化するなど、進化に伴い実質的な使い勝手が悪化するといった問題である。これはあくまで、当時の私の実感である。計測したわけでもなければ科学的事実として提示できるものでもないが、そう記憶している。

eneloop登場

そんな中、登場したのが三洋電機のeneloopである。それまでのニッケル水素電池のパッケージといえばゴテゴテした派手なカラーリングが普通であったが、eneloopは白地に青字のeneloopの刻印のみというシンプルで新世代のエコなイメージを感じさせるパッケージングが斬新であった。

そして、その電池容量は単三型で1900mAh。そう、三洋電機は容量競争から降りたのである。

eneloopはその登場直後から相当な話題となった。スペック上の電池容量は当時最大容量をうたっていた他社ニッケル水素電池の7割以下である。しかし、実際に使ってみるとeneloopの方が圧倒的に電池の持ちが良かった。メモリー効果を気にしなくてよい、という公式発表も実際の運用の面からは安心感があった。

当時のデジタルカメラは単三電池を使うものも多く、実際、私も単三電池を使用するPentax istDやCanon PowerShot A610などを使用していたのではっきり覚えている。何度も言うが、どう比べてもeneloopのほうが使い勝手が良かったのである。まさに、eneloopにあらずはニッケル水素電池にあらずといった状況だった。eneloop以外のニッケル水素電池は窓から投げ捨て、捨てた分のニッケル水素電池は全てeneloopで補充した。少々誇張もあるが本当にそれほどまでに革新的だったのだ。今となってはeneloopがニッケル水素電池の代名詞としてつかわれている場合も見かけるほどである。

当時の三洋電機の広告としては

  • 自己放電が少ない
  • メモリー効果が少ない(ない)
  • 上記2点に重点を置き、スペック上の容量は追及しない

という点を推しにしていたと記憶している。あくまで私の記憶によるもので、正確かどうかはわからない。が、その特性はニッケル水素電池の欠点を革命的に覆したといっても過言ではない。

工業製品のスペック

工業製品全般について言えることであるが、消費者に向けて発表する数値(電池容量や自動車の燃費、インクジェットプリンタの印刷可能枚数)などはその測定方法や基準がJIS等で決められている。私が知る中でサイズが決められていないのは畳の大きさぐらいであろう。

どの技術にも当てはまることだが、各社ある程度まではまともな技術開発によって売りとなるスペックの向上を図るのであるが、ある程度のところでスペックは打ち止めになってしまう。同じ星の元、同じような教育を受け、同じような技術で同じ様な素材を使って限られたコストで開発しているのだから当たり前である。

ここであえて技術者の端くれとして言わせてもらおう。前回よりも良くするのは当たり前、と言われる。が、前回の開発で手を抜いたわけではないのである。前回手を抜いたのであればその分を今回改善するのは簡単であるが決してそうではない。前回の製品も無理くりなんとかひねり出した結果なのだ。昨日の夕食で死ぬ覚悟でマヨネーズをひねり出したら今日のマヨネーズはないのである。しかし、死ぬ気でやれば毎晩マヨネーズが出てくると信じる人がいるのだ。こういう人が上に立つと誰も幸せにならない事態がまちうけることになるのだが、それはまた別のお話。

マヨネーズをひねり出すのが技術開発であることは理解しています。が、物理現象を無視し精神論でマヨネーズをひねり出そうとする人を批判しているだけです。

話がそれてしまった。技術がある程度行きつくと次に起こるのは悲劇である。つまり、いかに”規格内”で見せかけの数値をよくするかに心血を注ぎ始めるのである。これこそ悪い意味での技術の無駄遣いである。このような開発が進めば進むほど、カタログスペックと実使用体験の格差が広がっていく。

もちろん、技術開発にあたり一定の基準がなければ開発が進まないのだから、その測定法や基準などを統一するのは当然のことである。しかしながら、この段階になるとその測定法に対する最適化が始まるのである。例えばMT車の2速がやたらとハイギヤードであったり、特定のアプリケーションを検出すると電力・熱制限を解除するスマートフォンのようなものである。どこのメーカーであったかは記憶にないが、2700mAhなどと謳ったニッケル水素電池もこの典型例だ。検査を詐欺ってこのような数値をだしたのでなく、その測定方法ではちゃんとその数値になったのであろう。しかし実使用では使い物にならなかった。マクナマラの誤謬に近い話かもしれない。

この悪循環を打破して、真に使いやすいニッケル水素電池を目指したのが三洋・eneloopだったのではなかろうか。この決断を下した三洋の方はどなただったのでしょうか。

これ、復活予定のProjectXでやってくれませんかね。

補足:充放電サイクル数について

〇〇回充電して使えます!だから使い切りの乾電池よりお得!というのが2次電池お決まりの売り文句だ。

しかし、実際にこの回数充電できることは無いようである。というのも、以前、トランジスタ技術という雑誌で電池特集が組まれた際に、これについて検証している記事があったのである。(所有しているはずなのだが、現在見当たらないのでわかり次第追記する。全体的に面白い記事が多かったので中古でも探してみることをお勧めする)

この記事の一つに、二次電池に対してひたすら充放電を繰り返して耐久性を試験するという検証があった。資料自体が見当たらないし、著作権的にも数値をそのまま載せるわけにもいかないのであくまで記憶の中の話だが

  • 充放電サイクル耐久性に関してはeneloopが圧倒的に強い
  • ただし、そのeneloopでも実耐久性は公称値の数分の1~10分の1程度
  • 電池容量の多いProが最もスペックからの乖離が大きく、Liteは健闘(それでも公称には届かない)

このような結果であったと記憶している。

該当のトランジスタ技術は2016年10月号であることがわかりました。
上記記憶には結構な勘違いが含まれていたようです。記事が書かれてたのは2016年であり、時期的にはすでにPanaloopに変わった後のものですから、他メーカーの電池についてもFDKからのOEMになったか技術が広まっていたためか、詳細はわかりませんが健闘していました。該当のトランジスタ技術はamazonやオークションサイトなどで中古でも手に入るので詳細はそちらでお読みください。

そもそも、充放電を繰り返すと電池に何が起こるかというと、一番大きい点は内部抵抗が増加することである。そして、メーカー純正のまともな充電器は充電開始前に内部抵抗値を測定してから充電を開始する。基準より内部抵抗が高いと電池が劣化していると判断して充電してくれないという仕組みだ。

格安の充電器の中には内部抵抗チェックを行わずとにかく電気を流し込む、という挙動のものもあるらしい。逆に言えばまともな充電器で充電できなくなった電池でも適当な充電器を使うことで、だましだまし使うことも可能ということではある。

2019年頃にJISが改訂され、充放電サイクル回数の試験条件が変更されたために、スペック上の充放電サイクル回数が減っているという点には注意して欲してください。

近年のeneloop一覧表

追記:近年のeneloop及びその姉妹品一覧を表にしました。

世代/容量タイプ容量サイクル寿命メーカー型番注記
第5世代/標準2000mAh600回PanasonicBK-3MCD
第4世代/標準1900mAh2100回PanasonicBK3-MCC販売終了
1900mAh2100回東芝TNH-3ME在庫のみ
1900mAh2100回富士通HR-3UTC
1900mAh1000回東芝TNH-3ME(WB)確証無
1900mAh1000回IKEALADDA確証無
第3世代/Lite1050mAh1500回PanasonicBK-3LCD
第2世代/Lite950mAh5100回PanasonicBK3-LCC販売終了
950mAh5000回東芝TNH-3LE
第3世代/高容量2500mAh150回PanasonicBK-3HCD
第2世代/高容量2450mAh500回PanasonicHR-3UWXB販売終了
2450mAh表記無東芝TNH-3AH
2450mAh500回IKEALADDA確証無

第1世代 eneloop (三洋電機)

eneloop HR-3UTG

最初に発売されたeneloopは俗に第1世代と呼ばれる。単三型電池の型番はHR-3UTGである。公称容量は1900mAh。充放電サイクル数は1000回

手持ちの三洋純正充電器でも充電をはねられる(*)ため、もう使用することはできないが一応コレクションの一部として何本か保管してある。

と、写真を撮るために見比べていて気が付いたのだが、このHR-3UTGの中にも少なくとも2種類のパッケージが存在するようである。

  • Typ.2000mAh Min.1900mAhと書いてあるもの
  • Min.1900mAhと書いてあるもの

の2つである。完全に間違い探しの領域であるが、Min.1900mAhとだけ書いてあるものは青色の印字が光沢感のあるものとなっている。こちらの方がリビジョン的には新しいものと推測するがどうなのだろう。

eneloop HR-3UTG リビジョン違い

第2世代 eneloop (三洋電機)

eneloop HR-3UTGA

第2世代、とよばれるeneloopの型番はHR-3UTGA。容量表記はMin.1900mAh。充電可能回数は1500回。第1世代と比べて容量は変わらず、充電サイクル数が増加している。

パッケージ上の特徴としてわかりやすいのは王冠マークが記載されいている点。

eneloop Lite

eneloop lite

eneloop第2世代のころから、eneloop Liteなる商品も発売された。型番はHR-3UQ、容量は950mAhとスタンダード品と比べて半分だが、充放電サイクル数がスタンダード品のそれよりも多く、軽量なことが特徴である。

パッケージは青地に白文字。個人的には無線マウスの重量削減のために重宝していた。

eneloop Pro

型番はHR-3UWX、容量は2400mAhだが、充放電サイクル数は500回。パッケージは黒字に銀文字。

eneloopの中にあってはあまり評価が高くないシリーズでもある。まあ要するにそういうことだ。ニッケル水素という仕組み上の限界はこの辺りなのだろう。

物理現象を無視した先に幸せはない。

eneloopカラバリ

第2世代以降は、カラバリがいくつか出ている。上段がラメ入りの限定カラーeneloop tones glitter

下段がeneloop tones。何本か紛失してしまっているのが悲しい。

eneloopカラバリ

ちなみに、電池ケースは以下。重ねることもできるのでこういったコレクションには良き。

第3世代 eneloop (三洋電機)

eneloop第2世代と第3世代の違い

どちらが第2世代でどちらが第3世代か見分けがつくだろうか?


閑話休題。次は第3世代eneloop。型番はHR-3UTGB、容量は相変わらずの1900mAh、充放電サイクル数は1800回。第2世代と比べて充放電サイクル数が増加している。先に説明した王冠マークと、電圧・容量表示が銀色になっているのが特徴。

世代的には次が第4世代でHR-3UTGCとなるはずだったが、純粋な意味でのeneloopはこの第3世代が最後である。そう、三洋電機が倒産した(Panasonicに吸収された)からだ。ただ、独占禁止法等の絡みでPanasonicが三洋電機のニッケル水素電池事業を引き継げず、eneloopに関しては富士通(当時のFDKトワイセル、現在のFDK)が引き継ぐことになったらしい。ただし、eneloopの商標自体はPanasonicが引きついた。Panasonicが販売するeneloop(通称panaloop)は、FDKをOEM元としてpanasonicが販売している。なお、国内にある民生向けニッケル水素電池工場はFDKしかなく、国内産のニッケル水素であればほぼ間違いなくeneloopの系統であるといえるらしい

eneloop plus

eneloop plus

型番はHR-3UQ。容量は1900mAh、充放電サイクル数は1800回。おそらく一番マイナーなeneloopではないだろうか。”温度上昇を抑える”ことを売りとしていた。電池内部の温度が上がる(=ショートしている)と内部抵抗が上昇し、電流値が抑えられるようである。子供が扱うおもちゃでも安心、といったような売り文句であったと記憶している。パッケージは白地に銀色。

私の知る限り後継品はなかったように思うがどうなのだろう?

eneloop Pro 第2世代

eneloop pro

型番はHR-3UWXB、容量は2450mAhで、充放電サイクル数は500回。パッケージは黒字に銀文字。

持っているが使ったことは無い。やはりeneloop登場前の容量競争の影がちらついてしまうからである。

カラバリ

ここでも第3世代のカラバリを紹介しておこう。ただ、外装が残っていないものもあり、自分でもどれがどれだかもうわからない。のでこういう色があったんだーという程度で見ていただきたい。

右側の渋めの色はeneloop tones chocolatと思われる。夢の国のコラボモデルもある。

eneloop第3世代カラバリ


eneloop tones uomo

eneloop tones uomo


eneloop tones rouge 本記事アイキャッチ画像に設定しているピンク色のシリーズ

eneloop tones rouge

第4世代 eneloop (FDK)

eneloop BK3-MCC panaloop

このあたりから生産がFDKへ移管された世代のはずである。eneloopの商標を持っているPanasonicの型番はBK3-MCC。容量は1900mAh、充放電サイクル数は2100回

eneloopの文字は小さく灰色に変更され、青色で大きくPanasonicと書かれているデザインに変更になったことが一部のeneloop愛好家のなかで激しい批評(議論)を呼んだ。

私もeneloopと書いて欲しかった派閥に属してはいるが、当然ながらデザインだけの問題であり、eneloopと書いたからと言って電池性能が向上するわけではないのは言うまでもない。そもそも装置の中に組み込まれた電池のデザインなんて見えないのである。

eneloop lite 第2世代

型番はBK3-LCC。容量は950mAhで充放電サイクル数は5100回

旧基準とは言え驚異的な充放電サイクル数である。

カラバリ

Amazonが販売しているeneloopは白地に黒文字となっている。

eneloop amazonモデル


上段左側の単四型はカラバリの”トーンズ”、下段の単三型は第2世代eneloop lite。色が紛らわしい。

eneloopとeneloop lite

第5世代 eneloop (FDK)

型番はBK-3MCD。容量は2000mAhと微増。先に説明したJIS規格変更に伴い充放電サイクル数は600回と大きく減少しているが、実際に減ったわけではないだろう。以下、Lite,Proについても同様にスペック上のサイクル数は大きく減少しているが実際にモノが悪くなったわけではないハズ。

eneloop Lite 第3世代

型番はBK-3LCD。容量は1050mAh、充放電サイクル数は1500回

eneloop Pro 第3世代

型番はBK-3HCD。容量は2500mAhで充放電サイクル数は150回。私が以前トランジスタ技術で見た実際の充放電回数に近い数字である気がする。

どうしてもeneloopが良い!という場合は4本セットではなく8本セットでの購入をお勧めします。2024年3月現在、単三eneloop(BK-3MCD=第5世代)のヨドバシ価格は4本で2180円ですが8本セットの場合は2810円です。4本あたりの価格は1400円代になりますので、第4世代以前の価格とほぼ同水準です。
・・・と思っていたら8本価格が4000円弱になってしまいました。一時的な価格だったようです。

eneloopの姉妹品たち

第5世代以降のeneloopについては私自身所有していない。上記第5世代の写真がないのはそれが理由だ。高価になってしまったからだ。

以前はAmazonなどでは4本セット1500円程度、セールともなれば1000円程度だったが、最近はセールでもさして値下げにならず4本セットで2000円前後での販売である。以前の価格を知る身としてこの価格ではちょっと手が出ない。

先に述べたように、現在のeneloopは富士通系のFDKが製造している。パッケージは違えど中身はほぼ同じものをもっと安く購入可能だ。

FDK

ラーメン屋の本家、元祖みたいな話になってしまうが、現在はFDKの製品が本家で元祖だ。Amazonでは安定的に供給されていないのでヨドバシ、ビックあたりで探すのが賢明。型番はHR-3UTC、充放電サイクル数は2100回である。

スペックを見る限り、eneloopの第4世代相当に当たるモノと思われる。

https://www.yodobashi.com/product/100000001002333239/

東芝

東芝 TNH-3ME

東芝についてはラインナップが多いので購入時には気をつけて欲しい。以下の3つはいづれもFDK国内製造のeneloop第4世代相当品(lite/proについては第3世代)であると思われる。

いわゆるFDK製造のスタンダード品はTNH-3MEである。電池容量は1900mAh

“Pro”にあたる高容量品はTNH-3AHである。電池容量は2450mAh

“Lite”にあたるライトタイプはTNH-3LEである。電池容量は950mAh

白地にTOSHIBA赤文字のTNH-3ME(WB)という商品もアマゾンでは販売されている。電池容量は1900mAh、充放電サイクル数は1000回となっている。国内生産をうたっていることからFDK製と思われる。しかし、スペック上相当するeneloop品が見当たらない。考えられる理由としては

  • 第4世代eneloopだが、発売時期の関係で充放電サイクル数は新基準での表記となっている
  • eneloop第1世代相当品である

現状わざわざ第1世代品を作っているとは思えないので、1番目の説が有力だと勝手に思っている。どちらにせよ上記TNH-3ME(無印)と比べて特に安くない上に、個人的にはデザインも好みではないので選ぶ理由が見当たらない。

これは完全な邪推であるが、上記仮説のうち
・第4世代eneloopだが、発売時期の関係で充放電サイクル数は新基準での表記となっている
というのが真であるとするならば、第4世代から第5世代への移行の際に100mAhの電池容量増加と引き換えに400回分の充放電サイクル数(=耐久性)を放棄したということになる。繰り返すが、これは個人的な邪推であり、根拠は何一つない陰謀論である。明確な情報をお持ちの方はぜひコメント欄へ。

なお、東芝では別シリーズのニッケル水素電池も販売していて、こちらは安めの価格設定となっている。例えばTNH-3Aである。高容量タイプだが1100円程度(2023.12.03現在)という価格設定から魅力的に映るが、これは国内製造品ではないようである。Made in Japan最高!という時代は等の昔に過ぎ去った気もするし、本来であれば測定を持って良し悪しを判断すべきであろうから、判断は読み手にお任せする。


ちなみに東芝電池の最大の特徴は超高得点のベルマークである。4本セットのニッケル水素電池の場合はなんと驚異の14点である。生命保険などは数十~100点ほどのベルマークがついているらしいが、どう考えてもコスパが良いのは東芝の電池(1000円)である。

東芝 ベルマーク

IKEA

コメント欄にてIKEAのニッケル水素電池が日本製であるとの情報をもらい、実際に購入してみた。確かに裏面にはMade in Japanの表示。1900mAhでサイクル寿命1000回。上記の赤文字東芝と同じく、該当するeneloop相当品がよくわからない。第4世代にしてはサイクル寿命が短い。

2021年にSDGsの一環でIKEAがアルカリ電池の販売をやめ、それに合わせてニッケル水素電池をリニューアルしたとの記事があった。おそらく、このタイミングで中国製から日本製に戻ったものと思われる。

2024年現在は単三4本で799円、単四4本で599円ですが、2021年の発売時にはそれぞれ499円、399円だった模様。激安。

ちなみにオンラインでの購入の場合は送料は500円。


紙製のパッケージ

IKEAニッケル水素電池LADDA


世界共通PKG。あらゆる言語が書かれている。

IKEAニッケル水素電池LADDA


パッケージ裏面にはMade in Japanの印刷アリ。23年の第44週製造品ですかね?

IKEAニッケル水素電池LADDA


姉妹品について統括

安い値段で売られているeneloop姉妹品は、第4世代品であろうことが推測できる。Panaloopは第5世代で性能向上をし、価格を上げた(上がった)ということだろう。そう考えればeneloopの高価格設定も一応は納得がいく。

本家FDKからは第5世代相当品が出ていないことを考えると、eneloop商標をもつPanasonicとの関係は特別なものであるとも推測できる。

正直、第4世代と第5世の性能差については私は判断材料を持っていない。価格差に見合うだけの性能差があるのか誰か検証してくれないだろうか。

ちなみに、一時期IKEAやAmazonで販売されいた格安のニッケル水素電池もFDK製で中身はeneloopである、という話があった。おそらく正しい噂で、各ブログ等でも取り扱われているので興味のある方は検索をお勧めする。ただ、現在はどちらも中国製に切り替わっているらしいので(*下記追記参照のこと)、eneloopの姉妹品であるとは言えないだろう。現状で国内生産品にこだわるのであれば東芝か、本家で元祖なFDKを選ぶのが鉄板である。

これもまた完全な邪推であるが、工業製品の品質ばらつきというのは避けられない問題である。例えばCPUなどでも出来の良い高クロックで回るチップは上位モデルへ、そうでないものは下位モデルに割り当てるといったことが行われている。SSDやSDカードで使われるNANDチップや割れせんべいも同様である。
電池でも同様の仕分けが行われていない証拠はどこにもないのである。格安で供給されているものがどのようなものか推して知るべしと個人的には考えている。もちろん、行われている証拠もないので邪推や陰謀論の類と変わらない与太話である点には十分にご留意いただきたい。
せんべいを割る職人、という話が出てきそうなので与太話はこれぐらいにしておこう。
追記:コメント欄にて2024年3月時点でIKEA店頭にてIKEAブランドの日本製ニッケル水素電池(=FDK製)が販売されているとの情報を頂きました。筆者は未確認ですのでスペックや第何世代品に相当するものなのかなど詳細情報はわかり次第また追記いたします。追記しました。

まとめ

個人的主観に基づいてeneloopの登場から現在までを見てきた(というほど大げさなものではないが)。

次はいつ、どんなブレークスルーがみられるのか楽しみである。他力本願の極み。

コメント

  1. IKEAのLADDAですが本日店頭で確認した物は日本製(FDK)でした

    • 貴重な情報提供ありがとうございます!
      一時期中国製に変わったという話を聞いていたのですが、また日本製に戻ったんでしょうかね??

      今度私も確認にいってみます。