VILTROX AF 20mm F2.8 レビュー

4.5
VILTROX AF 20 2.8 カメラ/天文

中華レンズも日に日に性能が上がって侮れなくなってきました。
二昔前のシグマやタムロン的な立ち位置になってきている気がします。今やシグマやタムロンも安くないですからね。

ということで、今回はフルサイズ対応・ミラーレス用の超広角単焦点レンズVILTROX AF 20mm F2.8を紹介します。この記事ではレンズの性能は点光源の描写性能にほぼ全振りしてレビューをお伝えします。

ボケ味、歪曲以外については点像描写が優秀であれば結像性能は優秀といって良いです。

外観・質感

viltrox 20mmF2.8はフルサイズミラーレス用の超広角レンズです。対応マウントはソニーE,ニコンZの2種類が発売されています。お値段は驚異の3万円以下
本レビューでは天体写真に重点を置いていますが、AFにも対応しているので普段使いにも良さそうです。

20mmという超広角レンズですがサイズは非常にコンパクトです。フィルター径は52mmで非常に扱いやすいです。ニコン純正のZ28mmF2.8やZ40mmF2に近いサイズ・お値段感で、ラインナップ的にも上記2つの広角側を埋める立ち位置です。

作りは基本プラスティックですし、特別な塗装というわけでもないので高級感はありません。このあたりはお値段なりといったところです。ただし、純正28mm/40mmと違い、金属マウントが採用されていて一線を画す気分の差がありますね。

また、AFについても特別うるさい・遅いといったこともなく普通に使える水準です。

性能評価条件

ここからが本題、性能評価のお時間です。ベンチマークはNikkor Z20mmf1.8Sです。お値段が数倍異なる純正Sラインですし、サイズも全く違いますから本来であれば同じ土俵に上げるようなものでもないのですが、これと張り合えるなら文句なしの性能と言えるでしょう。

なお、撮影に使用したカメラはNikon Z6II、赤道儀で自動追尾しています。

また、光害カットフィルターとして、Z20mmはCokinのNUANCES CLEARSKY 77mmを、Viltrox 20mmはKenkoスターリーナイト52mmをそれぞれ使用しています。

RAWデータをAdobe LightroomClassicで現像、露出補正だけを調整して概ね同じような明るさになるようにしています。レンズプロファイルを適用した周辺減光補正・歪曲補正はしていません。(自動適用されますが全て手動でOFFとしました。)


 

 

 

 

 

▲LightroomClassicにはレンズプロファイルが導入済み!(今回はOFF)

性能評価1:全体イメージ

NIKKOR Z20mmはさすがに優秀で絞り開放からピントは全面で鋭いですし、周辺減光も超広角レンズとしてはさほど大きくありません。F2.8まで絞ればほぼ解消されます。

一方、Viltrox20mmは解放ではかなり大きな周辺減光がみられます。F4でも気になりますし、F5.6でようやくましになってきたかな?といった具合です。一方、ぱっと見の結像性能は3万円以下のレンズとは思えないほど優秀です。周辺減光だけであればソフトウェア的な補正もある程度効果が見込めます。

NIKKOR Z 20mm f1.8S

▼F1.8


▼F2.8


▼F4

VILTROX AF 20mm F2.8

▼F2.8

F2.8


▼F4

F4


▼F5.6

F5.6

性能評価2:中央四隅の結像性能

中央と四隅をそれぞれ5倍に拡大して星像を確認してみました。

とりあえずNIKKOR Z20mmは開放から文句なしです。中央・周辺ともに拡大しても大きな粗は見えません。天体写真でもf1.8で安心して使える性能ですね。

一方、Viltrox 20mmは画面周辺部でメリディオナル方向に星像が伸びてしまっていますね。像面湾曲と非点収差がもろに出てしまっている感じです。

これはF5.6ぐらいまで絞ってもあまり変化がありません。

NIKKOR Z 20mm f1.8S

▼F1.8


▼F2.8


▼F4

VILTROX AF 20mm F2.8

▼F2.8


▼F4


F5.6

性能評価3:秘技・ピントずらし

Viltrox20mmF2.8は像面湾曲と非点収差が大きいことがわかりました。星の写真に限って言えば、星像が丸ければきれいに見える(見えやすい)です。つまり、画面周辺部で星像が丸くなるようにピントを少しずらしてごまかすという手が使えます。

特に今回のように非点収差で星像が歪んでいる場合には有効です。また、中央付近の星は多少ピントをずらしても星像がいびつになることは少ないです。

以下にその結果を掲載しますが、いかがでしょうか?星像のノビが大きく改善されていますし、画面中心でのピンボケもそれほど気になりません。とくに、F4程度まで絞れば差はわからないのではないでしょうか?


▼F2.8


▼F4


▼F5.6

まとめ

VILTROX AF 20mm F2.8は周辺減光と像面湾曲というクセがあるものの、お値段を考えれば非常に優秀です。

上記2つのクセもF4まで絞る覚悟とピント位置に注意さえすればほぼ解消できます。

F4まで絞ってしまうと、開放から使えるNIKKOR Z20mmと比較して2EVの違いがありますのでお値段・サイズのバランスで好きな方を選べばよいと思います。

コメント