ピント指標をつくろう!

カメラ/天文

星空の写真を撮るとき、どのようにピント合わせをしていますか?

最近はミラーレスでの撮影が多いので、明るい星を拡大表示してピントを合わせています。手ごろな星がない場合は遠くの街灯や家屋の明かりを使う場合もあります。

フィルムカメラやマニュアルフォーカスレンズが主流だったころはピントリングを突き当りまで回せば無限遠がでるものが多く、苦労はしませんでした。しかし、近年のレンズは所謂オーバーインフが当たり前で、突き当りでの無限遠はできなくなっています。また、そもそもバイワイヤー制御のために距離指標自体がないものも当たり前になってきています。

突き当りで無限遠が出るようにしろ、というご意見も多く見かけますが数十年前と比べてレンズの結像性能もピントに対する精度・要求も桁違いに高まっているため無限遠できっちり止めることが難しくなっています。また、近年多く使われるようになっている特殊硝材は温度に対する屈折率変化も従来ガラスに比べて大きいために合わせ込みが不可能、という場合もあります。
個人的にはそもそも無限遠指標は信じていませんし、無限遠が出ない方が1万倍罪が重いと考えているのでこの点については近年の流れに迎合的です。

超広角でニッチな安いレンズ

特に天体写真では超広角レンズが重宝されますが、ここ数年は中華系企業の技術力が上がってきたため劇的に安いマニュアルフォーカスレンズを手にすることができるようになりました。
ミラーレス化にともなうフランジバックの短縮により、激安の超広角レンズでもそれなりに満足のいく画質が得られます。個人的にはTTARTISANの11mmF2.8やPERGEARの14mmF2.8などを使用しています。いずれもマニュアルフォーカスレンズですがセール時などには3万円前後の価格で購入可能です。
周辺まで完璧な性能とは言えませんし、フレア・ゴーストなど問題はありますが価格以上のモノであると感じでいます。

問題点

問題がないわけではなく、概ねこのようなレンズは距離指標がいい加減です。オーバーインフはともかくとして、とにかくいい加減なわけです。
たとえばPERGEARの14mmF2.8の場合だと画面中心部で無限遠のベストピント位置を出すと距離指標は2m付近を指します。被写界深度を考えるとあながち嘘ともいえないのですが、オーバーインフ云々以前にあてにならないのは違いありません。
おおよその位置を覚えておけば現場でいちいちピント位置を探らなくても良いのですが、それだけでは面白くないし正確性にも少し劣りますのでその辺りを解決してみます。

解決法

今回は副尺付きのメモリをつくって自分専用の指標を作ります。より正確な指標とするために副尺を使います。


↑大昔の天文ガイドのおまけとしてついてきた銀色のステッカー。右上部分が副尺になっていますね。

作り方

ごく単純で、キングジムのテプラやCASIOのNAMELANDを使用して、銀色テープに黒字で等間隔の縦線を印刷するだけです。副尺は主尺に対して90%のサイズで作ります。


↑PCやスマホアプリから設定できるタイプの商品がおすすめです。本体のキーボードのみで操作を行うタイプは、フォントの制限があったり、半角文字が使えなかったりと制限が多いことがあります。
↑銀地に黒文字である必要はありませんが、暗がりでも読みやすいこと、貼り付けてもレンズのデザインを棄損しにくいのでおススメです。
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↑テープをまっすぐ切ったり角の面取り(R取り)ができるのでおススメです。仕上がりが圧倒的にきれいです。
キングジムの製品ですがもちろんテプラでも使えますし、他のDIYで紙を切るときにも使えます。

レンズに貼り付けたのが下の図です。副尺は主尺の90%のサイズで作りましたので、副尺10メモリに主尺9メモリが対応しています。そして、副尺と主尺のラインが重なる位置を読み取ることで主尺の1/10まで読み取ることができます。

詳細についてはWEB等を参照してみてください。ノギスの使い方、ノギスの読み方、等で検索すればわかりやすい解説サイトが山ほどあります。


例1)副尺の左端が主尺の0~1の間にあり、縮尺と副尺が一致しているのは副尺の”6″ですから読み取り値は0.6となります。

 


例2)副尺の左端が主尺の0~1の間にあり、縮尺と副尺が一致しているのは副尺の”2″ですから読み取り値は0.2となります。


まとめ

いかがだったでしょうか。テプラやNAMELANDがあれば比較的簡単に正確な指標がつくれることがわかりましたね。テープライターがない場合はレーザープリンター用の銀色シートを使う手もあります。

いずれにせよ、これで前もって自分のレンズのピント位置を割り出して置き実際の撮影現場では慌てないようにしたいものです。

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