先日、レンズの結露防止のためのヒーターの自作についての記事をアップデートしました。
ヒーターを作って運用を始めたところで次に問題になるのが
ということです。作っているときには電源をつないで温かくなっているのを確認すればよいのですが、実際にレンズに装着してしまうと大部分の熱をレンズ側に吸われてしまって温かくなっているのか判別しにくいです。
実際にはこのような状況でも結露防止にはかなりの効果を発揮するのですが(周囲より1度でも温度が高ければ結露の防止効果がある)、どこかで接触不良が起こって実は動いていないのではないかと不安になるわけです。
そこで今回はヒーターの断線検知を(おそらく)もっとも簡単な方法で実装する方法を紹介します。
断線検知回路
前提条件
今回の前提条件としては以下のようなものを想定しています。各自の使用状況によってはこのまま適用しても動かない場合がありますのでご注意ください。
- 電源はDC5V、USB電源
- 負荷はヒーターのみ、電流は数百mAオーダーを想定
- 簡単のためノイズ対策やオペアンプ保護回路は入れていない
- 正常時にLEDが点灯、断線時LED消灯の動作とする
ダメな例
電気が通っているかどうか確認したいならLEDをつければよいのですが簡単に思いつく以下の2つのような例はNGです。
▲負荷(ヒーター)と並列にLEDを配置した例。負荷の近くで断線した場合、検知できない。
▲負荷と直列にLEDを配置した例。回路のどの部分が断線しても検知できるが、投入した電力の多くをLEDに持っていかれる。さらに、数百mAで点灯できるLEDは爆光。天体写真撮影どころではない。
正しい例
電流検知は負荷と直列に接続する必要がありますが、そこから直接電力をとるわけにはいきません。そこで今回はオペアンプを使用します。
負荷のローサイド側にごく小さな抵抗を直列に接続し、その両端にかかる電圧をオペアンプで増幅しチェック用のLEDを駆動させます。回路は以下のようになります。
オペアンプは最も汎用的なLM358を使用し、ヒーターの電源と共用の5Vを単電源で使用します。
単電源ですので回路が単純にできる典型的な非反転増幅回路を採用しています。
また、電流検出のためのシャント抵抗は20mΩとし、負荷のローサイド側に配置しました。
解説
ここでは、例として500mAの電流を流す場合を考えます。
20mΩの電流検出抵抗の両端には20mΩ×500mA=10mVの電圧が現れます。このとき、電流検出抵抗で消費される電力は500mA×10mV=5mWです。この程度ではほぼ発熱はしませんが抵抗の定格は余裕をもって選定してください。また、ヒーター本体の消費電力は約2.5Wで、これと比べても十分小さいのでバッテリーの持ちなどを気にする必要はありません。
非反転増幅回路の場合、電圧増幅率は以下の式で表されます。
\(\displaystyle \frac{R1+R2}{R1}\)
10mVの電圧をLEDが駆動できる3V程度に増幅したいので、R1を1kΩとするとR2は約300kΩの抵抗を選べばよいことがわかります。今回は厳密に増幅率を決めたいわけではないので適当に決めればOKです。増幅率をどんなに大きくしても電源電圧(5V)以上は出てきません。
LEDの明るさはLEDと直列に接続された抵抗の抵抗値で決めます。この辺りはお好みで。
作ってみた
部品点数が少ないので、USBコネクタのハウジングの中に無理やり押し込んでみました。少し隙間ができますが一応ちゃんと蓋もできます。
▲ヒーターを接続するとLEDは点灯
なお、今回使用したUSBコネクタは以下です。
まとめ
多分これが一番簡単だと思います。
もっと簡単にできる、部品点数を減らせる、という方はぜひコメント欄へ。
※作るのが面倒なかたはUSBチェッカーを常用するというのも手です(元も子もない)
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