デジタルカメラのゴミのチェックはどのようにしていますか?
最も簡単な方法は、レンズを装着して最小絞りに設定して白い壁や空を撮る、という方法だと思います。
実用上はこれでも十分なのですが、もっとくっきりはっきり小さなごみまで確認できるツールを簡単に作ることができます。今回はそれを紹介します。
なぜ最小絞りで撮影するのか
そもそも、なぜ最小絞りで撮影するとゴミがあることがわかるのでしょうか。
絞りを小さくすると、レンズを通る”光束”(光の束)が細くなります。
大口径で撮影する場合は大きな光の束がセンサーに入射します。一方、絞りを小さくすると光の束は細いビームのような状態でセンサーに入射します。
このとき、ごみのサイズに対してレンズから入射してくる光束の大きさが十分に大きければ、ゴミによって光が遮られる影響は小さくなります。一方、ゴミのサイズに対して光束の大きさが近いサイズ、もしくはゴミの方が大きい場合にはその光はゴミの影響をもろに受けてしまうワケです。
ごみチェックツールの原理
多くのレンズでは、絞りの最小値はF22や32程度です。原理的にはこれよりももっと絞り込むことができればゴミの検知が容易になります。
そこで、絞り込む最も簡単な方法としてピンホールカメラを作ります。仮に、焦点距離を50mm、ピンホール直径をφ0.5mmとした場合、F値はおよそ100です。この条件でゴミを見つけ出して取り除けば、F22~32のレンズでは撮影に支障が出ることはまずありません。
ちなみに、極端な小絞りで撮影した場合センサー上のゴミだけではなくレンズ上のゴミまで映り込んでしまう可能性がありますが、単純なピンホールレンズであればこれらの心配はありません。
下の図は今回作成するゴミチェックツールの構成図です。物体側から順に拡散板とピンホールを配置しているだけです。拡散板がない場合、模様のない均一な明るさの面(白い壁や空)が必要で、チェックが面倒になってしまいます。
ただ、ピンホールカメラを作る時のように極限まで穴を小さくしなければならないとか、穴を真円にしなければならないということはないので適当に作りましょう。
必要なもの
今回はSDGsに配慮して可能な限り廃品を利用しました。
- 段ボール(ピンホールの支持)
- ビックリマンシール(ピンホール)
- 壊れたシーリングライトのカバー(拡散板)
- 使用するカメラに合わせたTマウント
- 千枚通し
- サークルカッター
- ターナーアクリルガッシュ ジェットブラック
以上です。なお、以下の写真には特定企業のロゴが映り込んでいる場合がありますが、あくまでもSDGsに配慮した廃品利用による産物であり、当該企業による本記事へのスポンサード、もしくは当該企業への著作権侵害の意図はないことを強調しておきます。正規ルートで自腹購入した当該企業製品の空き箱であり、いつもお世話になっております。
補足
今回作成するツールは、Tマウント内部に円形にカットして何枚か重ねた段ボールを押し込み、中央部にビックリマンシールを千枚通しで突っついて穴をあけたものを張り付けています。
段ボールが少々曲者で、このツール自身からゴミがでる場合もあります。心配な方はプラスチック板などを利用する方が良いかもしれません。
また、ピンホール部の材料としてビックリマンシールを利用したのは、薄くて一定の強度があり、光を通さないという特性に注目したためです。アルミテープなどでもよいかもしれません。千枚通しで一突きすれば直径0.5~1mm程度のそれなりにきれいな穴が簡単に開けられます。
拡散板については廃品利用として壊れたLEDシーリングライトの拡散カバーを加工して利用しました。特性的にも最適です。このようなものがない場合は、乳白色のプラスチック板などがホームセンターなどでも入手可能です。
筐体として利用したTマウントはご自身で使用するカメラに適合するものであればなんでもかまいません。Tマウントに限らず、接写リングやマウントアダプターを利用するのも手です。
サークルカッターに関しては、ラチェット構造付きのものをおすすめします。
今回の場合はあまり気にする必要もないのですが、内面処理はターナーのアクリルガッシュ、ジェットブラックがおすすめです。Pentelのアクリルガッシュ黒などよりも圧倒的に黒いです。光学系DIYをやるなら1本持っておいて損なし、です。
お菓子もちゃんと食べよう
作り方
先に掲載した構成図の通りなので説明することはほとんどありません。
1点注意があるとすれば、ピンホールそのものは可能な限り薄い必要がありますが、薄いとピンホール板自身の保持が難しいです。そこで、マウント内に挿入するための適当な円盤を作成し、中央付近に大きめの穴をあけておき、その中央にピンホール板を配置するのが良いです。
また、ピンホールを配置する場所ですが近すぎると視野周辺部でケラレが生じやすいので50mm程度はイメージセンサーから離れた位置に設置するのが良いです。
この距離については、ピンホール板の厚みやピンホール径によるので各自の条件で探ってみてください。
ビックリマンシールを千枚通しで一突きして穴をあける。φ0.5~Φ1以下が目標。
ピンホール支持板に貼り付ける。見た目が汚らしいのは勘弁。
Tマウント先端付近に押し込む。
拡散板を張り付けて完成。拡散板についてはピンホール支持板にあけた穴よりも大きい必要はありませんが、固定等々の理由からかなり大きめに作成しました。
カメラにつけるとこんな感じ。
撮影してみる
結構ゴミが見えますね。ブロワーと所謂”ぺったん棒”でゴミを除去
まあまあよし。これぐらいなら通常撮影では影響は出ません。これ以上キレイにしたいならサービスセンターに持ち込むしかないと思います。可能な限り触らないのが吉です。
なお、ピンホール設置位置をイメージセンサーから25mmぐらいの位置にした場合の結果はこちら。
盛大に周辺がけられていますね。鏡筒自身のケラレ等々の理由によるものと思われます。このような理由で今回はマウント先端部にピンホールを配置しました。
補足
マイクロフォーサーズ用のものも作ろうとしたのですが、ゴミがほぼ写らないんですよね。
オリンパスやパナソニックの超音波式のゴミ除去が優秀ということで。
コメント
天体写真を撮るために、赤外カットフィルター換装を自分でやった時を思い出しますなぁ・・・。
自宅の壁が純白だったらと思わずにはいられなかったあの日。。。
ピンホールの準備が面倒なら通常レンズ先端に乳白色の板をかぶせるだけでも行けます。