レンズヒーターの作り方②

レンズヒーター カメラ/天文

以前、ニクロム線を利用したレンズヒーターの作り方を紹介しました。

レンズ用ヒーターの作り方
レンズの曇り対策のための簡単なヒーターの自作方法について紹介します。

ただ、以前紹介した方法ではヒーターをレンズに取り付けるためにシリコンゴムリングを使用していましたが、締め付ける力が弱く、場合によっては外れてしまうという問題がありました。

そこで、今回はこの辺りの問題を解決すべくWEBを検索していてヒットした情報にインスパイアされて改良を行いました。

なぜ市販品ではダメなのか

レンズの曇り止めヒーターとして多くの商品が販売されています。しかしこれらの商品は非常に太いベルト状になっているものが多いです。サイズが大きいと巻き付ける際にケラレに注意しなければなりませんし、レンズのズームリングやフォーカスリングと干渉してしまうといった問題もあります。

一部有名な商品で、細いケーブル状のヒーターも販売されていますが非常に高価(\10,000~)です。

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評判も上々のようですので1つか使わない方や自作の手間を惜しまれる方はこういったものを買ってしまうのも手かと思います。

自作のポイント

今回のキーになる材料は次の2つです。

1つはマスクのひもなどの長さを調整するためにつかうストッパーで、2つ目は0.5sqのダブルコードです。

0.5sq×2のコードに上記ストッパーを組み合わせると絶妙なサイズになります。少し力を入れればスムーズに動きますし、かといってスカスカではないので一度固定すれば簡単には動きません

電熱線

youtubeや各種ブログ記事では、既存のシート状のヒーターをばらして使うという解説をよく見かけます。

この方法では後で述べるニクロム線と電線の接続などといった少し面倒な問題を回避できますし、少量しか作らないのであればコスパも良いと思います。

ただ、ここでは電熱線から自作する方法を紹介します。電熱線の長さ、引き回しのためのケーブルの長さなど、自分の都合に合わせやすいためです。

ニクロム線

ニクロム線は名前の通り、ニッケル-クロム(と鉄)の合金ですね。この組み合わせでパッと思いつく方も多いと思いますが、これって≒ステンレス線なんですね。ステンレスは鉄に少量のニッケルとクロムを添加した合金ですから。

DAISO

DAISOなどではちょうど良いものが販売されていて、直径Φ0.28/30mで110円です。

DAISOのニクロム線

測定方法が怪しいので目安として考えていただきたいのですが、抵抗値は14Ω/m程度でした。10Ωにするには70cm程度になります。

ニクロム線の抵抗は、5Vで使用する場合10Ω前後が目安です(約2.5W、カメラ用レンズを温めるならこれぐらい)。もちろん必要に応じて調整してください。製造時期やパッケージよって抵抗値が異なる可能性もあります。使用前に抵抗値、電流を確認してください。
燃えたり溶けたりしないように注意してください…)

ELPAのニクロム線

おそらくECサイトやホームセンターで入手しやすいのはELPAのニクロム線だと思います。

エルパ (ELPA) ニクロム線5M 5m φ.26mm発熱線 HK-NK05H

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サイズはほぼ同じですが単価ではDAISOのステンレス線には太刀打ちできません。なお、ELPAのニクロム線はΦ0.26mmで28Ω/mのようです。

おなじ10Ωをとるにしても必要な長さが若干変わってきますのでそのあたりを考慮に入れてみてだください。発熱体の部分を短くしたいのであればELPA、長くしたいのであればDAISO、といった使い分けができそうです。

DAISOのステンレス線の抵抗値はELPAのニクロム線の約半分です。

その他に必要なもの

ニクロム線は半田が乗りにくいため、圧着工具でカシめるのが確実です。圧着スリープはたくさん出ていますので手持ちのモノ、好きなものを使えばよいと思います。今回私はフェルール端子のプラ部分を切り取ってスリーブ状に加工して使いました。

↑電気系DIYをやるなら持っていて損なしフェルール端子

また、前回同様ニクロム線発熱体部分を保護するために釣り用品の強化チューブなるものを使用しました。(釣りはやらないのでいまだに何に使うものかはわかっていません。)
これは中が中空になっていますので、その内部にニクロム線を通すことでニクロム線の保護と、局所的な加熱を防いでいます。
”釣り用強化チューブ”ではなく、シリコンチューブでもOKです。こちらの方が熱に強く、適度な摩擦もあるので使いやすいです。(試作実験中です)
https://www.monotaro.com/p/2225/2554/

前回同様、ケーブルの末端はSMコネクタで処理して脱着できるようにしています。これが必要ないのであれば、適当なUSBケーブルをエーモンの電線にはんだ付けしてして接続するか、USBコネクタをバラで買って直接つないでしまってもOKです。(もちろんUSBコネクタにこだわる必要もありません)

作り方

ニクロム線を必要な長さ(抵抗値をよく確認して)、切り取り、ほぼ同寸の強化チューブに挿入します。末端はニクロム線を折り返して、強化チューブの周りにぐるぐると巻いてください。


フェルール端子のプラ部分をカットします。フェルール端子に限らず一般的な圧着スリーブでもよいかと思います。

切断時につぶれてしまうのでうまく調整してください。また、フェルール端子をこのような使い方をするのは多分奨励されないので自己責任でお願いします。


フェルール端子に0.5sqの同線と、ニクロム線を差し込んでください。ニクロム線側は強化チューブごとカシメて強度を確保します。強化チューブの外側にニクロム線をぐるぐる巻いたのはこのためです。


カシメた部分を熱収縮チューブで保護します。


電線側の末端はSMコネクタなり、USB直結なり、DCコネクタなり各自の都合に合わせればよいと思います。


今回のキーパーツ”サンコッコー ゴムひもストッパー”を通します。


全体的な仕上がりはこんな感じ。

使い方

作ったヒーターを巻き付けるだけです。ポイントはニクロム線本体だけではなく、電線部分も一部巻いて肝心のストッパーを利かせることです。
レンズヒーター

少しわかりづらいのでyoutubeに限定公開しています。

まとめ

前回紹介したものに比べてはるかに取り付けやすく、かつ強力で簡単、といういいことづくめのヒーターができました。

市販品を買うのもいいのですが、ご自身でちょうど良いものを作ってみるのはいかがでしょうか。

参考先

ケーブルの固定に使うストッパーについて参考にさせていただきました。感謝!

新たらしく、レンズヒーターを作ってみる|NaoAkimoto!
・ヒーターの必要性 写真の撮影をしていて、特に風景で朝方や、夜間撮影をすると、 レンズが曇ることがあります。 これを回避するために、レンズヒーターが必要になります。 レンズが曇るのは、その日の空気中の水分量にも よりますが、私個人の感覚とし...

 

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