DxO PureRawを買うな

5.0
photolab カメラ/天文

扇動的なタイトルですが、PureRaw4じゃなくてPhotoLab8を買おう!という話です。

釣りっぽいタイトルですみません。Lightroomとの比較もしていますので是非ご覧ください。

PureRawとPhotoLabについて

どちらもDxOが発売しているRAW現像ソフトですが、PureRaw4は一般的にイメージされる現像ソフトとは少々性格の異なるものです。

RAW現像ソフトと言えば、デジタルカメラで撮影したRAWデータの明るさやトーン、色をいじって画像データとして出力するためのソフトです。

PhotoLab8はまさにそのようなソフトなのですが、PureRaw4はRAWデータのノイズ除去、レンズによる画像劣化を修正し、RAWデータとして再出力するためのソフトです。

設定項目は最小限ともいえるような内容で、上記処理の強弱を決める程度です。ソフトウェアとして単独で使用することもできますし、Lightroomなど別の現像ソフトから呼び出して使用することもできます。しかし、それだけで画像処理が完了するものではなく、あくまでもRAWデータを整えるためのソフトである点に留意する必要があります。

なぜPureRawを買ってはいけないのか

PureRaw4はここ数年で頓に注目され始めた処理ソフトですが、理由はそのノイズ除去とでモザイク処理の優秀さです。その性能については各方面で作例がたくさん上がっておりますのでここではあまり触れません。

ではなぜPureRawを買ってはいけないのか、それは2度手間になるからです。

PureRaw4で処理をすると一般的な形式のRAWであるDNGファイルに変換されます。2000万画素程度のデジタルカメラの画像サイズは20~30MBほどですが、PureRaw4で生成されるDNGファイルは60MB以上のサイズに膨れ上がります。撮影データを取り合えず全部PureRaw4を通して処理を済ませてから本格的に処理をしよう…などというワークフローではストレージがいくらあっても足りません。

Lightroomなどから都度PureRawを呼び出して使うこともできますが、大容量のDNGが生成される点は変わりませんし、これはこれで手間がかかります。

一方、PhotoLab8にはPureRawのノイズ除去やレンズソフトネスの処理はすべて含まれていますし、高機能なRAW現像も可能です。PhotoLab8ではノイズ除去も含めて最終段までノイズ除去をした中間ファイルを生成しませんのでストレージを圧迫することもありません。

PureRaw4を使いたいなら後処理でLightroomやSILKYPIXを使うことを考えず、PureRawが含まれているPhotolab8を選ぶのが得策です。

もちろん、PureRawも使いたいしLightroomが絶対必要という方に無理に勧めるものではありません。

LightroomとPhotoLabの比較

PureRaw4の導入を迷っている人の多くは現在Lightroomを使用していて、PureRawのノイズ除去性能にひかれているのではないでしょうか?
ノイズ除去性能など性能面での比較は他に譲るとして、ここでは運用面での違いを見ていきましょう。個人的に、重要視しているのは編集情報がどこに置かれているかということと、先ほどから繰り返し述べているノイズ除去済みデータの存在、そして価格の3点です。

編集情報の在処

RAW現像ソフトは基本的に非破壊編集を行うものがほとんどです。元のRAWやJPEGデータには手を付けず、何をどういじったかという編集情報を別に持つのが非破壊編集の肝です。元のデータをいじってしまうと、編集が重なると元の情報(階調)が失われてしまいますし、再編集もできなくなってしまいます。

Lightroomの場合にはカタログという概念があり、元のファイルとは全く別の場所にカタログファイルを生成し、そこに編集情報が集約されている、という仕組みになっています。

一方、PhotoLab8ではサイドカーと呼ばれる仕組みになっていて、元のファイルと同じ場所に編集情報のデータを生成します。(“元のファイル名.dop”というファイル名になります。SILKYPIXも似た方式だったはずです。)

どちらの場合も善し悪しはありますが、Lightroomのカタログデータは以下の点で非常に取り回しが悪いです。

  1. カタログが格納されたフォルダの中が複雑怪奇で小容量ファイルが多数生成される
  2. カタログはネットワークドライブには置けない(仕様。iSCSIならできるけど…)
  3. 容量が膨れ上がる

ちなみに、3に関してはこの10年弱の間に2TBほどの撮影データがありますが、カタログデータは100GBを突破しました。キャッシュや元データなしに編集できるプレビューファイルなども含まれるためしょうがない部分もありますが、サイズが大きすぎます。

また、小さいファイルが大量にあるため(元の画像ファイルの数よりも圧倒的に多い)、バックアップを取るのに時間がかかります。小さなファイルのコピーは時間がかかるんですよね。

さらに、ネットワークドライブには置けないので複数PCでデータを共有する場合には、取り扱いの面倒なファイルを同期するなりコピーするなりして持ち歩かねばなりません。

シンプルに1画像ファイル1編集ファイルなどといった構成ではないため、カタログファイルが壊れて編集データ全損という阿鼻叫喚もたまに耳にします。

このようなことを考えると編集情報のファイルの取り回しに関してはPhotoLabに軍配が上がります。

ノイズ除去済みRAWデータの生成

最近各社実装し始めたAIノイズ除去についてです。PhotoLab8については先に述べたように基本的に中間ファイルは生成しないので、ストレージが圧迫されることはありません。

Lightroomの場合はPureRaw4のようにAIノイズ除去の場合はDNGファイルが生成されます。しかも、生成されるファイル名が“元のファイル名-強化.DNG”みたいなくそダサいファイル名にしてくれるので非常に鬱陶しいです。パッと見でわかりやすいんですけどね。

一方でPhotoLab8の方式にも少々弱点があって、AIノイズ除去は最終出力まで基本的には適用しません。結果が確認できるのはプレビューウィンドウの中だけです。スペックが低いPCの場合にはプレビューにも時間がかかってしまうのが欠点です。PureRawやLightroomではDNGを生成してしまえば、その結果を見ながら作業ができるわけですね。

とはいってもPhotoLab8でもAIノイズ除去だけを適用したDNGファイルをいったん生成してから次の編集を行うという選択肢をとることはできます。(Lightroomでは中間DNGを生成しない選択肢はない)

ということでノイズ除去の運用に関してもPhotoLab8に軍配が上がりそうです。

価格

Lightroomを使いたい場合Adobeのフォトプラン(20GB)が最安で、月額1180円です。年額換算14,160円です。

一方、PhotoLab8は買いきりで27,900円なのでLightroom2年分です。買いきりの方が好まれる傾向にありますが、2年もしたら絶対新しいバージョンが欲しくなるので価格的にはトントンかなというのが個人的な印象です。

AdobeのフォトプランはPhotoshopも使えますしね。

簡単な作例など

さすがに作例が1つもないのはアレなので、緑の四角の部分を拡大して以下の2パターンを比較してみました。

  1. JPEG撮って出し - RAW現像標準プリセット
  2. JPEG現像標準プリセット - RAW現像標準プリセット

カメラはOLYMPUSのE-P7で、レンズはM.ZUIKO 17mm F1.8。JPEGはAIノイズ除去が使えないので標準的な高画質ノイズ除去、RAWデータはDeepPRIME XD2というAIノイズ除去設定を当てています。


1.JPEG撮って出しとの比較
photolab

▲JPEG撮って出しと比べて一皮むいたようなシャープさがありますね。ノイズも増えていません。


2.JPEG現像との比較(AIノイズ除去ナシ/アリ)photolab

▲JPEGに標準プリセットと従来のノイズ除去を適用すると、ディティールは浮かび上がりますがノイズは抑え込めていません(撮って出しよりもノイズは増えています)。右側のDeepPRIME XD2はやはり優秀です。

まとめ

ということで色々検討してLightroomを卒業してPhotolabに移行することととしました。今は、ブラックフライデーセールで6000円引きになっているので狙い目ですね。

操作感やノイズ除去の効き具合など心配な方は機能制限なしの無料体験も簡単に試せるので、そちらを試してみてから購入するかどうか決めてみるとよいと思います。

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