Logicool K380Sは廉価版MX KEYS MINIなのか

4.5
Logicool K380S PC/デジモノ

キーボードに求める機能は人によって異なると思います。が、ここでは

  • パンタグラフ式TKLしか愛せない
  • 1台のキーボードで複数の接続先を切り替えたい
  • bluetoothキーボードは信用してない

という人が対象です。東プレやメカニカルキーボードしか愛せない方、アクチュエーションディスタンスが深くないとダメという人はこの記事を読んでも幸せにはならないのでブラウザバックをお願いします。

2023年11月にロングセラーのLogicoolキーボードK380の最新機種K380Sが発売されました。運よくアマゾンアウトレットを格安でゲットできました。今回は、旧機種のK380、上位機種ともいえるMX KEYS MINI、そして最新のK380Sを比較しながらレビューをしたいと思います。

 

スペック比較

ここで3機種のスペックを比較してみましょう。

K380(旧)K380SMX KEYS MINI
キー形式パンタグラフパンタグラフパンタグラフ
無線方式BluetoothBluetooth,LogiBoltBluetooth,LogiBolt
接続先登録数333
キーピッチ18mm18mm19mm
279mm279mm296mm
重量423g415g506g
バックライト

ここまでも述べてきたように、K380はBlueoothのみ対応、K380SとMX KEYS MINIはUSB無線式のLogiBoltとBluetoothの両対応です。(LogiBoltレシーバーは別売り、Unifyingには非対応)。

また、K380,K380Sはキーピッチが18mmでMX KEYS MINIは19mmです。普通のキーボードは19mmが標準ですのでここにこだわる場合もK380シリーズは候補から外すしかありませんね。

その他、バックライトを搭載しているのはMX KEYS MINIのみです。

キーボードに求める条件

先に述べた3条件

  • パンタグラフ式TKLしか愛せない
  • 1台のキーボードで複数の接続先を切り替えたい
  • 無線式じゃないとダメだけどbluetoothキーボードは信用してない

というのは意外と選択肢が少なく、実質的にMX KEYS MINI一択ともいえる状況だったと思います。ただ、このMX KEYS MINIはLogicoolの中でも一般向け最上位にあたる機種だけあって1.5万円弱と高額です。まともな思考であれば購入候補として考える人は少ないはずです。この製品のレビューは以下の記事をご覧いただきたいのですが、ごく一部の挙動を除いて非常に満足のいく、大変できのよいキーボードです。

bluetooth式でよければ接続先を切り替える機能のあるキーボードは山ほどあります。Bluetoothキーボードの場合、その筆頭格ともいえるのがLogicoolのK380です。ただ、このK380には大きな問題がありました。

旧K380の問題

これについても以前の記事で書いたのですが、問題の概略は以下のようなものです。

  • Bluetooth接続しかない
  • 最上段のキー(ファンクションキー部分)がデフォルトでメディアキーとして動作する(接続先の切り替えや再生・音量などの操作)
  • ファンクションキーをデフォルトにするにはLogicoolOptionsというソフトのインストールが必要で、その設定はキーボード本体には保存されない

MX KEYS MINIでは上記問題が概ね改善されていて、使い勝手が向上しました。K380Sでは上記の問題は解決しているのでしょうか?そのあたりを中心に確認していきたいと思います。

K380との比較

K380とK380S

悪魔のメディアキーはどうなったのか

ファンクションキーの設定などはK380SではMX KEYS MINIと同様にキーボード本体側に保存されるようで、LogicoolOptions+で一度設定してしまえばLogicoolOptions+がインストールされていないPCでもファンクションキーはファンクションキーとして使えるようになりました。これは非常に大きい改善点です。

最悪、ファンクションキーロック機能(Fn+ESC)もありますので、ソフトのインストールすらしなくても何とかなります。つまり、K380Sは悪魔のメディアキーから解放されたのです。

キータッチなど

本体重量は若干軽くなっていますが、サイズやキー配列などは基本的にはK380を踏襲しています。メディアキー問題やUSB無線で接続できないことのみを不満に思っていたK380ユーザーはK380をまどから投げ捨てて買い替える価値が十分にあります。

ただ、メディアキーの配列は変更されているので注意が必要です。この点については後で述べますがMX KEYS MINIと共通化されています。

一方、MX KEYS MINIとK380Sのどちらを購入するか迷っている方は以下の点に注意してください。

  • K380,K380Sはキータッチがパンタグラフとしても浅め
  • キーピッチが18mm

パンタグラフ式が好きな人であれば多少のキータッチの浅さは気にならないかとは思いますが、パンタグラフ式の中でも浅めの部類に入る(いつぞやのMacほどペコペコではないし、一般的なノートパソコンよりはうち心地はよいです)のでこの点は店頭など実機で確認することをお勧めします。

また、キーピッチが18mmなので若干窮屈です。私が以前使っていたノートパソコン(VAIO S11)はキーピッチが17mmと窮屈で、最後まで慣れませんでした。キーピッチが18mmであればほとんどの人は慣れの範疇だとは思いますが、個人差があるのでこの点も注意が必要です。(個人的には18mmまではギリギリ許容範囲です)

K380とK380Sお裏面

MX KEYS MINIとの比較

K380SとMX KEYS MINI

お値段が2~3倍ほど違う製品ですので公平な比較とは言えないかもしれませんが、最初に挙げた3条件に合うキーボードは実質この二択ですのであえての比較です。

大きな違い

MX KEYS MINIとK380Sとの大きな違いは、キーピッチとバックライトの有無です。

特に手が大きな人だとキーピッチ18mmというのは窮屈になりやすいのでMX KEYS MINIを選ぶのが無難です。

また、多くないとは思いますが薄暗い環境でキーボードを使わなければならない場合には非常に有用ですのでこういった需要がある場合もMX KEYS MINIをお勧めします。

キータッチ

MX KEYS MINIは高級機だけあってパンタグラフ式ながら深めのストロークとしっかりとした打鍵感、剛性感があって不満が出ることはないと思います。

一方、K380Sはストロークは浅めで悪く言うとペチペチ感があるので嫌う人も多い人かもしれません。ただ、こちらもLogicoolの製品だけあって(MXKEYSMINIと比べて安いというだけで5000円もするキーボードですからね…)剛性感は高く、下手なノートパソコンのキーボードよりは良いです。

完全な打鍵感と標準的なキーピッチに+1万円だせるかどうかが分かれ目です。

電源

MX KEYS MINIは内蔵電池式で、USB-Cで充電するタイプです。バックライトを使わなければ毎日ハードに使っても数か月は持ちます。

一方、K380Sは旧K380同様単4電池2本を使用するタイプです。アルカリ電池、ニッケル水素電池が使用できます。正確に測ったことはありませんが、極端に動作時間が短いということはなく数か月は使用できます。

どちらでも十分に電池はもちますし、どちらをえらんでも後悔はないはずです。

ファンクションキー周り

K380,K380S,MX KEYSMINIのファンクションキー比較

K380SではK380からファンクションキーまわりは一新されていて、MX KEYS MINIとほぼ同一の並びとなっています。(MXKEYSMINIにあるバックライトの光量調整キーだけ別の割り当てになっています。)

ここで、前回の記事を読んでいただいたかたはピンと来たと思いますが、ファンクションキー周りがMX KEYS MINIと同様になったということは、INSERTキー問題もMX KEYS MINIと同じ仕様になっています。

この問題を簡単に説明しますと、MUTEキーとVolumeDownキーは最上段のキーをファンクションキーとして使う設定とするかどうかで挙動が変わるのですが、VolumeUPとINSERTに割り当てられているF12の右側のキーに関してはどのような設定にしようとも、キー単独押しでVolumeUP、Fnとの同時押しでInsertになるというものです。旧K380のときはファンクションキーの設定に連動してくれていたのですが、ここは改悪されてしまいました。なぜこのような仕様にしたのかLogicoolの設計思想を聞いてみたいです。

LogiOptions+をインストールすることに抵抗がない人はマクロ機能でInsキーにInsキーを割り当てれば常にInsキーとして使うことができますので回避することは一応可能です。

マクロキーの割り当てはソフトウェア側に保存されています。LogiOptions+がインストールされていない場合や起動前には無効です。

まとめ

いろいろと書きましたが、総じてMX KEYS MINIの下位互換と言ってもよい出来になっていますので、キーピッチ18mmが問題ないのであれば、高額なMX KEYS MINIではなくK380Sを選ぶのは良い選択肢だと思います。

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