マイコンで簡単にMOSFETを使う方法(2)

マイコン/Arduino

以前、マイコンで簡単にMOSFETを使用する方法を紹介しました。

マイコンでMOSFETを使う一番簡単な方法
マイコンでスイッチとしてFETを使用する方法を紹介します。わかりにくい理屈は全部すっ飛ばしてとりあえず"使える"ことを目指します。

今回は回路にもう一工夫加えたものを紹介します。部品点数が増えてしまいますが、マイコンから直接MOSFETを使うときの制限や問題が少し解消されます。

前回同様、極力簡単にとりあえず使う、ということに重点を置いています。逆起電力対策等の部分は省いていますし、抵抗値も大雑把にきめたものです。実際に使用する場合は個人の使用用途に合わせて考えてみてください。

前回のおさらいと問題点

前回紹介した回路のうち、ハイサイドスイッチとしてPchMOSFETを直接マイコンで駆動する回路はこちらです。

PchMOSFETを使った一番簡単なハイサイドスイッチの例

GPIOをハイインピーダンス状態にした時にはゲートソース間電圧が0VになるのでMOSFETはOFF、GPIOを0出力とした場合にはゲートがソースに対して約-4.5VとなるのでMOSFETをONにすることができます。

この回路の場合、LEDを駆動する電源が5Vと低いのでこれでよかったわけです。ただ、多くの小電力用のMOSFETはゲート-ソース間の耐圧が±20~30V程度です。DIYでも20Vぐらいの電圧を使用することはよくあるのでこのままでは余裕がなさすぎますね。

また、マイコン側に電源電圧に近い電圧がかかる場合もあるのでその点でも高い電圧は扱いにくいです。

そこで登場するのがゲートドライバです。読んで名のごとくゲートをドライブするモノ(回路)で、MOSFETを使用する場合にはゲートドライバを使うのが一般的です。

Pch MOSFETをハイサイドスイッチで使う

ゲートドライバとしてNPNバイポーラトランジスタ1つといくつかの抵抗を使用した(おそらくもっとも簡単な)例を下図に示します。

もっとも簡単なMOSFETのゲートドライブ回路

ここでは主回路の電源電圧を19Vにしています。この19VをPMOSのソースと、2つの1kΩ抵抗で分圧した上でPMOSのゲートに接続してあります。

このような構成の場合、NPNのバイポーラトランジスタ(Q4)をONにしたとき、ゲートにはソースに対して-9V程度の電位となりますのでFETもONになります。ゲート-ソース間には常時0~-9Vの電圧しかかかりませんので耐圧も問題ありません。電源電圧が19Vではない場合などゲートにかける電圧を調整したいときにはR7とR8の分圧抵抗の比をいじって調整します。

厳密に考えたい場合はNPNトランジスタのコレクタ-エミッタ間電圧も考慮してください。
NPNトランジスタをONにするためにはGPIOで1を出力すればOKです。一般的に、エミッタに対してベースが0.7V以上になればトランジスタはONになります。OFFにする場合は0(GNDに落とす)かハイインピーダンス状態にします。

回路中のNPNバイポーラトランジスタは小信号用の2SC1815などでOKです。バイポーラトランジスタはMOSFETに比べて耐圧が高いことを利用してゲートにかかる電圧を肩代わりさせているわけですね。

バイポーラトランジスタはMOSFETと比較して低い電圧でONできるのでマイコンからの駆動が行いやすい利点があります。また、高速なスイッチングが必要な場合にはR7とR8の抵抗を小さくすることで調整できます。このとき、バイポーラトランジスタを挟んでおけばマイコン側の出力電流の制限に引っかからないわけですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。前回と比べて回路が少々複雑にはなりますが、今回紹介したような回路でハイサイドスイッチとしてPMOSを使用する問題点を克服することができます。お試しあれ。

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